2009年 06月 12日
前回、少しブログで触れていた筋肉について今回はアップしていきたい。
筋肉を細分化していくと、筋肉はまず「筋束」に分化され、筋束は「筋繊維」に分けられ、筋繊維は「筋原繊維」に細分化されます。言い換えれば、きわめて細い筋原繊維が集まって筋繊維になり、筋繊維が集まって筋繊維の束である筋束になり、筋束が集まって筋肉になっているのです。
この細い繊維が集まって筋肉を構成していくメカニズムを理解するには、細いゴムの糸をイメージすると良い。細いゴムの糸が束ねられて、しだいに太いゴムの束が作られていくのです。
そして、筋原繊維は筋膜に包まれ、筋肉は「筋上膜」という筋膜に包まれています。つまり、細いゴムの糸が一定の量集まるごとに、筋膜に包まれているのです。
この筋膜という袋がないと、筋肉が収縮というアクションを起こした時、他の筋繊維と、他の筋束と、他の筋肉との間に摩擦が生じやすくなります。つまり、摩擦を防ぐことが筋膜の主要な役割なのです(筋膜内を流れるリンパ液も潤滑油となって、摩擦を防ぐ上で重要な役割を果たしています)。
しかし、いくら摩擦を防ぐための膜があって、潤滑油が流れていても筋肉を動かす時気をつけないとやはり摩擦は起こります。筋繊維どおし、筋肉どおしに摩擦が生じる以前に、摩擦を防ぐ役目の筋膜と筋肉の間に摩擦が生じてしまうのです。
筋膜がスタンバイする条件
腕に力こぶを作ってみると良く分かりますが、筋肉は収縮した時太く短くなります。つまり、ゆるんで伸びている時よりも、筋肉は収縮すると太く短くなるのですが、そうなるのは筋原繊維の仕組みに基づいています。
筋肉を形作る最も小さな単位である筋原繊維は、「アクチンフィラメント」と「ミオシンフィラメント」と呼ばれる2種類の細い糸によって成り立っています。どちらも細い糸には違いないのですが、両者を比較した時、やや太い糸がミオシンフィラメント、より細い糸がアクチンフィラメントです。
筋肉の収縮は、脳の指令が筋繊維に届いた後ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込むことによって起こります。つまり、緩んで伸びていた時は、仲良く隣に並んでいた二種類の細い糸のうち、片方がもう片方の領分に入り込むことによって筋肉は太くなり、筋肉の寸法は短くなるのです。これが力こぶが出来るメカニズム、筋肉の収縮メカニズムです。
しかし、アクチンフィラメントの滑り込みによって、筋肉が収縮して太くなる時に筋肉を包む袋である筋膜が膨らんでいればいいのですが、膨らんでいないと筋膜と筋肉の間に摩擦が生じます。つまり、中身だけが太くなり袋の方が太くなっていないため、中身と袋のサイズが合わず、摩擦が生じてしまうのです。
ところが、長い間運動不足であまり使っていないと筋膜は硬くなって十分に膨らみません。精神的に緊張していても筋膜は硬くなって膨らみません。また、ストレッチングなどにより無理に筋肉を引き伸ばした直後には、筋膜は硬くなって膨らみません。筋肉を収縮させて力を発揮させる前に、「筋肉を伸ばして、伸ばして」とストレッチを繰り返すと筋膜と筋肉の間に摩擦が生じやすくなるのです。
両者の摩擦を防ぐには、筋膜が適度に膨らんで収縮して太くなる筋繊維を収容できるスペースを作らなければなりませんが、筋膜が膨らむためには一定の条件が必要になります。その条件とは、ゆっくりとした動作で動き、しかもその動作を反復することです。そうすることで筋膜を膨らみスタンバイOKになるのです。
一方、ゆっくりとした動作の反復とまったく相容れないトレーニング法が静的なストレッチングです。ですからウォーミングアップにストレッチングだけをする習慣になったら、そのせん選手の筋肉は悲惨な運命をたどることになります。その結果、筋肉は損傷を受けやすく、筋膜と筋肉も摩擦の連続という結果になるのです。
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by KENZOKASE
| 2009-06-12 14:27